こんにちは、ジャカルタで暮らす会社員のサントソです!
皆さん、インドネシアでこのようなシンボル見たことが有りますか?よく会社や建物のロビーとかで飾られていると思います。
こちら、インドネシアの国章、ガルーダ・パンチャシラ(Garuda Pancasila)と言います。インドネシアの神鳥ガルーダが5つのエンブレムを抱えています。このエンブレムに記載されている内容はインドネシアの建国5原則を指すパンチャシラと言い、インドネシアが独立を宣言した1945年8月に制定されました。様々な民族がいる中で、どのようにインドネシアを統一するかと、当時のお偉いさんたちが考えたところ、このような5つの理念が生まれました。パンチャシラと言う言葉はサンスクリット語を用いており、「パンチャ/panca」は「5」、「シラ/sila」は「原則」「基礎」を意味しています。インドネシア語やアラビア語ではなく、サンスクリット語を用いているのには驚きですね。
それではどのような意味が込められているのでしょうか。まず、真ん中の黒背景に星が描かれたものは「唯一神への信仰(クトゥハナン・ヤン・マハ・エサ/Ketuhanan Yang Maha Esa)」を表しています。言葉の通り唯一神を信仰することですね。シンボルの星は神から全ての人間に与えられる霊的な光を表しています。唯一神が発する光だから1つの星と言うことですね。インドネシアで「無宗教」であることは認められておらず、公的に認められた宗教であるイスラム教、キリスト教(カトリック、プロテスタント)、ヒンドゥー教、仏教、儒教のいずれかを信仰する必要が有ります。私が日本にいた時は宗教のことを意識する場面が少なかったのですが、インドネシアに来てから宗教が身近に感じられるようになりました。
真ん中に係れている星の形や色にも意味が有るようで、真ん中から5本の腕が伸びているのは、上が神性を意味しており、それ以外の腕は地、空気、火、水という生命の側面を象徴しているようで、神が生命のこれら 4 つの要素を統合できるものと考えられています。星の色が金色なのは、栄光、知恵、楽観主義、豊かさ、知識、精神性、そして自分自身と魂についての深い理解を象徴していると言われています。シンボルに描かれている絵に関してもちゃんと意味が有るのですね!当時、相当苦労して考え出されたのだなと思います。
次、右上から時計回りに説明していきます。右上の白い背景に大きな木が描かれたものは
「インドネシアの統一(プルサトゥアン・インドネシア / Persatuan Indonesia)」です。描かれている木はガジュマルの木で、団結を象徴し、そこから成長する美しい枝葉は「インドネシアの多様性(部族、言語、文化、宗教、人種、文化)」を表しています。「多様性を持ちながらも根はしっかり張られ一つにまとまっているように」という意味から採用されています。「別にガジュマルの木じゃなくても木は大体そうじゃないか?」と思いましたが、ガジュマルの木というのは中国南部、台湾、ベトナム等で寺院などの庭園によく植えられ、強い日差しをさえぎり、休める場所を提供する役割を担う存在のようです。インドネシアでも多くの動物がガジュマルの木の下を憩いの場としていたようで、そのような光景を見て思いついたのでしょうね。いろんな動物が集まることから「他者に対して開放的であり、思いやりを持つ。」という意味も込められているようです。また、ガジュマルの木は長寿の木としても有名なようで100年以上、場合によっては300年も生きるようです。「長い時間が団結力を一層強くさせる」という意味も込められているようです。ガジュマルの木だけでもこれだけの意味を持っているのですね!
ガジュマルの木そのものだけではなく、背景の白い色も意味を持っており、純粋さ、誠実さを象徴しています。これはインドネシアの統一が個人の利益のためだけではなく、国家の利益のための神聖な理想を持って維持されることを意味します。なるほど…、一瞬「果たしてこれを意識している人がどれだけいるのだろう?」と思ってしまいました。恐らくインドネシアだけでなく他の国においても純粋さ、誠実さを満たしていない国は有ると思いますが、是非、ガジュマルの木の「特に白い背景の方!」を大切にするような国になってほしいなと思います。
ここまで、パンチャシラの2つの理念を紹介しましたが、ボリュームが多いため、残りは次回ご紹介できればと思います。どうぞ、お楽しみに!Sampai Jumpa(サンパイ ジュンパ=またね)!