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紙幣に描かれた英雄 その1

こんにちは、ジャカルタで暮らす会社員のサントソです!
日本ではいよいよ新しい紙幣が発行されましたね。皆さん、新しい紙幣は見ましたか?1万円札には渋沢栄一氏、5千円札には津田梅子氏、千円札には北里柴三郎氏…恥ずかしながら私は新しい紙幣の話が出るまでこちらの3人について知りませんでした。これを機に知っていきたいと思います!

さて、そこでふと「インドネシアの紙幣には誰が描かれているのだろう?」と思い興味を持ちました。今回はインドネシアの紙幣に描かれている人や絵について紹介したいと思います。現在出回っているお札のデザインは大きく分けて2016年版と2022年版が有るのですが、2016年版も紹介すると結構なボリュームになるので、今回は2022年版のみを紹介したいと思います。では、早速見ていきましょう。

Rp100,000札
まず、赤い色をしたRp100,000札。表に描かれているのは皆様おなじみ、インドネシア初代大統領のスカルノ(Dr. (H.C.) Ir. Soekarno) 氏と副大統領のハッタ (Dr. (H.C.) Drs. Mohammad Hatta) 氏ですね。左側に描かれているスカルノ元大統領は建国の父とも言われています。インドネシアを象徴するお二人なので右上にはパンチャシラ、その下にはインドネシアの島々が一緒に描かれています。

Rp100,000札の表(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp100,000札の表
(インドネシア銀行ウェブサイトより)

Rp100,000札の裏、真ん中に描かれているのはブタウィの仮面ダンス(Tari Topeng Betawi)を踊る女性です。その左には美しい海と島が魅力のラジャ・アンパット(Raja Ampat)、そして上にはファレノプシスという蘭科の植物が描かれています。他のお札もそうですが、表はインドネシアの英雄特集、裏がインドネシアの踊り特集になっており、勇敢さと優美さを兼ねた感じになっています。オシャレですね。

Rp100,000札の裏(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp100,000札の裏
(インドネシア銀行ウェブサイトより)


Rp50,000札

続いて、青い色をしたRp50,000札です。表に描かれている人物はジュアンダ・カルタウィジャヤ氏(Ir. H. Djuanda Kartawidjaja) 氏です。彼はスカルノ政権下で首相として活躍し、1957年にジュアンダ宣言を行ったことで有名です。ジュアンダ宣言とはなんぞや?ということですが、「インドネシアは群島国家であり、島々の周囲やその間の海はインドネシアの領域!」と外国に向けて宣言したんです。この宣言があるまで、島の周囲3マイル(約5.6km)しかインドネシアの海域として見なされず、その範囲外だと島と島との間でも外国船が自由に行き来できていたのです。これによってインドネシアの領域は広がり、外国船を気にすることなく国内の島々を安心して行き来することができるようになったのです。彼の愛称、ジュアンダはコタ駅とボゴール駅を結ぶ路線の駅名やスラバヤの国際空港の名前になっています。

Rp50,000札の表(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp50,000札の表
(インドネシア銀行ウェブサイトより)

裏に描かれている踊りはバリのレゴン・ダンス(Tari Legong)です。バリダンスと聞いたらこの踊りを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。その左に書かれているのはコモド国立公園の景色です。上に描かれている花はバリのプルメリア(Bunga Jepun Bali)になります。

Rp50,000札の裏(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp50,000札の裏
(インドネシア銀行ウェブサイトより)

Rp20,000札
お次は緑色をしたRp20,000札。表に描かれている人物はラトゥランギ(Dr. G.S.S.J. Ratulangi)氏です。サム・ラトゥランギとも呼ばれる彼もインドネシアの政治家で、ジャーナリスト、教師でもありました。インドネシア共和国憲法を制定したインドネシア独立準備委員会のうちの一人であり、初代スラウェシ知事も務めた人物です。インドネシア独立の際にスラウェシ島の人々の権利を守るために尽くしたことで有名で、北スラウェシ州の州都であるマナドにある国際空港に彼の名前がつけられています。彼の有名な哲学で「Si tou timou tumou tou」ということばがありますが、意味は「人間を人間化することができた場合にのみ、人間は人間と呼ばれることができる。」という意味です。人間になる努力をしなければ人とは言えないか…何か考えさせられますね。ここ最近スマホゲームにどっぷりハマって日常生活もままならない私は人間失格でしょうか…?

Rp20,000札の表(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp20,000札の表
(インドネシア銀行ウェブサイトより)

裏に描かれている踊りはゴング・ダンス(Tari Gong)で東カリマンタンのダヤク族の間で踊られます。女性が楽器のゴングの上に乗って踊るのが特徴的です。左に書かれているのは同じく東カリマンタンのデラワンの景色です。デラワンには1回行ったことが有るのですが、本当に景色がきれいでした。また別の機会に記事にしたいと思います。上に描かれている花はCoelogyne pandurataといって、適した日本語が無かったのですが、黒い蘭科の花になります。

Rp20,000札の裏(インドネシア銀行ウェブサイトより)Rp20,000札の裏
(インドネシア銀行ウェブサイトより)

ここまででRp100,000、Rp50,000、Rp20,000を見てきました。お札の色が赤、青、緑ときて初代のポケモンを思い出させる組み合わせでした。ボリュームの関係で今回はここまでにしたいと思います。次回は何色のお札、どんな人物が出てくるでしょうか。次回もお楽しみに!Sampai Jumpa(サンパイ ジュンパ=またね)!